近年、各地で発生する自然災害による停電は、私たちの生活に大きな影響を与えています。
ライフラインが断たれた状況下で、家庭用蓄電池があれば、最低限の家電を動かし、情報収集や連絡手段を確保できるため、安心感が大きく増すでしょう。
しかし、いざという時に「どれくらいの時間、電気を使えるのだろうか」という疑問は、多くの方が抱かれることと思います。
蓄電池の性能や使い方によって、その持続時間は大きく変わってきます。
停電時に蓄電池は何時間使える?
蓄電池容量と家電消費電力で計算可能
蓄電池が停電時にどれくらいの時間電気を供給できるかを把握するには、蓄電池の容量と、使用する家電の消費電力を知ることが重要です。
稼働時間は、一般的に「蓄電池の容量(Wh)÷家電の消費電力(W)」で計算できます。
例えば、容量が5kWh(5000Wh)の蓄電池で、消費電力500Wの家電を使い続ける場合、単純計算では約10時間使用できることになります。
ただし、実際に使用できる家電の消費電力は、エアコンのように300Wから3,000W、IHクッキングヒーターでは1,400Wから3,000Wと幅広く、使用する機器によって必要な電力は大きく異なります。
実効容量が実際の使用可能時間を示す
蓄電池のカタログに記載されている容量(定格容量)は、実際に使用できる電気量(実効容量)と異なる場合があります。
これは、蓄電池の直流(DC)電力を家庭で使用する交流(AC)電力に変換する際に、約5〜10%程度のエネルギーロスが発生するためです。
そのため、一般的には定格容量の約80〜90%が、実際に使用できる実効容量と考えられます。
例えば、定格容量が5000Whの蓄電池で、実効係数を90%とすると、実際に使用できる電気量は4500Whとなり、計算上の使用可能時間はこれに基づいて算出されます。
容量別使用時間の目安を把握する
蓄電池の容量によって、停電時に使用できる時間は大きく変わります。
例えば、5kWh(5000Wh)の蓄電池の場合、使用する家電を冷蔵庫、LED照明(2部屋分)、テレビ、携帯充電器などに限定し、節電を心がけた場合(特定負荷型に近い使い方)は、1日の消費電力を約1,700Whとすると、約3日分の電力をカバーできると試算されています。
一方、エアコンやパソコンなども含めて普段通りに家電を使用した場合(全負荷型に近い使い方)は、1日の消費電力が約3,800Whとなり、約1.3日程度使用できるという目安もあります。
停電時にどの家電を使いたいかによって、必要な容量の目安を把握しておくことが大切です。

蓄電池で停電時の電気はどれくらい持つ?
特定負荷型と全負荷型で持続時間が異なる
家庭用蓄電池には、大きく分けて「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があります。
特定負荷型は、停電時にあらかじめ指定した一部の回路(例:照明や冷蔵庫)のみに電力を供給するタイプで、最低限の生活機能を維持することに特化しています。
一方、全負荷型は、家屋全体の電力需要をカバーできるタイプで、エアコンやIHクッキングヒーターといった大容量の家電も使用できることが多く、停電時でも普段と変わらない生活を送りやすいのが特徴です。
持続時間は、使用する家電の種類や数によって変動しますが、全負荷型はより多くの家電を動かせる分、消費電力が大きくなる傾向があります。
使用家電の種類と消費電力で時間は変動する
蓄電池が停電時にどれくらいの時間使えるかは、使用する家電の種類とその消費電力によって大きく変動します。
例えば、5kWhの蓄電池でも、最低限の家電(冷蔵庫、照明、テレビ、スマホ充電など)のみを使用する場合は約14時間使用できるというシミュレーションがある一方、真夏の停電時にリビングのエアコンを稼働させると、合計消費電力が増加し、使用可能時間が約5.5時間程度になるという試算もあります。
高消費電力の家電を稼働させるには、より大容量の蓄電池が必要となるか、使用時間を制限する必要があります。
蓄電池の出力も使える時間に影響する
蓄電池の「容量」が貯められる電気の量を示すのに対し、「出力」はその蓄電池が同時に供給できる電力の大きさを指します。
例えば、エアコンのように消費電力の大きい家電を使用するには、蓄電池に十分な出力が求められます。
また、200Vの電圧を必要とする家電(一部のエアコンやIHクッキングヒーターなど)を使用したい場合は、その電圧に対応した出力を持つ蓄電池を選ぶ必要があります。
出力が不足していると、いくら蓄電池に電力が残っていても、使いたい家電が動かせない、あるいは同時に複数の家電を動かせないといった状況が発生する可能性があります。

まとめ
停電時に蓄電池がどれくらいの時間使えるかは、蓄電池の容量だけでなく、接続する家電の種類や消費電力、そして蓄電池のタイプ(特定負荷型か全負荷型か)によって大きく変動します。
単純な容量だけで判断せず、実効容量や家電の消費電力、出力仕様などを理解した上で、ご自身のライフスタイルや停電時に必要となる機能を考慮して選ぶことが重要です。
計画的な利用と節電を心がけることで、非常時でも安心できる時間を確保できるでしょう。