太陽光パネルの発電効率は温度で変わる!種類別影響と設置環境対策

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太陽光発電システムは、クリーンエネルギーとして注目を集め、多くの家庭や企業で導入が進んでいます。
しかし、発電効率は天候や気温などの環境条件に大きく左右されるため、発電量を最大限に引き出すためには、その特性を理解することが重要なのです。
今回は、太陽光パネルの温度と発電効率の関係について、具体的な数値データやメカニズム、そして様々な設置環境下における影響などを解説します。

太陽光パネルの温度と効率の関係

温度上昇は発電効率を低下させる

太陽光パネルの発電効率は、パネル温度に大きく影響を受けます。
パネルの温度が高くなると、発電効率が低下する傾向にあります。
これは、太陽光パネルが半導体を利用した発電システムであることに起因し、温度上昇に伴い半導体の電気抵抗が増加するためです。
例えば、真夏の炎天下ではパネル温度が著しく上昇し、発電効率が大きく低下する可能性があります。
そのため、温度上昇による発電効率の低下を抑制するための対策が重要といえます。

パネル温度が1℃上昇すると発電効率は0.4〜0.5%低下する

多くのシリコン系太陽光パネルにおいて、パネル温度が1℃上昇するごとに、発電効率は概ね0.4~0.5%低下するとされています。
この低下率は、パネルの種類や製造技術、さらには日射量などの条件によって多少変動しますが、発電量を正確に予測する上で重要な指標となります。
例えば、25℃で最適な発電効率を示すパネルの場合、温度が30℃に上昇すると、発電効率は2.5%低下し、発電量が減少することが予想されます。
また、日射量が強いほどパネル温度は上昇しやすいため、低下率も大きくなる傾向にあります。

最適なパネル温度は25℃前後

一般的に、太陽光パネルの発電効率が最も高くなるのは、パネル温度が25℃前後の時です。
この温度帯を逸脱すると、発電効率は低下していきます。
そのため、パネルの温度管理は、発電量を最大化する上で非常に重要であると言えるでしょう。
例えば、パネルの設置角度や設置場所の風通しを工夫することで、パネル温度の上昇を抑制し、発電効率を最適化することができます。
また、冷却システムを導入することで、より効果的にパネル温度を制御することも可能です。

太陽光パネルの温度上昇による効率低下のメカニズムは?

半導体の電気抵抗が増加するため

太陽光パネルは、シリコンなどの半導体を用いて太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換しています。
温度上昇によって半導体の電気抵抗が増加すると、発電効率が低下します。
これは、電子が半導体中を移動する際に抵抗を受けるため、電流の流れが阻害されることによります。
その抵抗の増加は、発電効率の低下に直結します。
そのため、半導体の電気抵抗を低減する技術開発も進められています。

開放電圧が低下する

温度上昇によって、太陽光パネルの開放電圧が低下します。
開放電圧とは、太陽光パネルから電流を取り出さない状態での電圧です。
開放電圧の低下は、発電効率の低下を意味します。
これは、温度上昇によって半導体中の電子の動きが鈍くなるため、電圧が減少することに起因します。
つまり、温度上昇は電圧の低下を通じて発電効率に影響を与えているのです。

短絡電流はあまり変化しない

一方、短絡電流は温度上昇による影響を比較的受けにくいです。
短絡電流とは、太陽光パネルの端子を短絡させた状態での電流です。
これは、温度上昇によって半導体中の電子生成数はそれほど変化しないためと考えられます。
しかし、短絡電流が一定であっても、開放電圧の低下により発電効率は低下します。

太陽光パネルの種類による温度と効率の関係性の違いは?

単結晶シリコン太陽電池は温度の影響を受けやすい

単結晶シリコン太陽電池は、高い変換効率が特徴ですが、温度変化による発電効率の低下も比較的大きくなります。
これは、単結晶シリコンが持つ結晶構造に起因するものであり、温度上昇による電気抵抗増加の影響を受けやすい点が挙げられます。
そのため、高温環境下での使用には注意が必要です。

多結晶シリコン太陽電池は単結晶よりやや影響を受けにくい

多結晶シリコン太陽電池は、単結晶シリコン太陽電池と比較して、温度変化による発電効率の低下は若干小さくなります。
単結晶に比べ結晶構造が異なるため、温度上昇による電気抵抗増加の影響を受けにくい傾向にあります。
そのため、単結晶シリコン太陽電池よりも幅広い環境で使用できるメリットがあります。

薄膜太陽電池は温度の影響を受けにくい

薄膜太陽電池は、アモルファスシリコンやCIGS(銅インジウムガリウムセレン)などの薄膜材料を用いて作られています。
これらの材料は、結晶シリコンと比較して温度変化による発電効率の低下が少ないため、高温環境下でも安定した発電性能を維持できます。
また、軽量で柔軟性があるため、様々な場所に設置しやすいという利点もあります。

設置環境による温度と効率への影響は?

日射量が多いとパネル温度は上昇する

太陽光パネルは、日射量が多いほど発電効率が向上しますが、同時にパネル温度も上昇します。
特に真夏の強い日差し下では、パネル温度が上昇し、発電効率の低下につながる可能性があります。
そのため、日射量が多い時間帯でも効率的な発電を行うためには、パネルの冷却対策が重要になります。

風通しが悪いとパネル温度は上昇する

太陽光パネルの設置場所の風通しが悪いと、パネルの放熱が妨げられ、パネル温度が上昇します。
そのため、パネルの設置場所を選ぶ際には、風通しの良い場所を選ぶことが重要になります。
例えば、屋根の上に設置する場合、屋根材との間に隙間を設けることで、風通しを良くすることができます。

周囲の気温が高いとパネル温度は上昇する

周囲の気温が高いと、太陽光パネルの温度も上昇します。
特に夏場など高温の環境下では、発電効率の低下に繋がるため注意が必要です。
また、気温が高い地域では、パネルの設置角度や設置場所を工夫することで、温度上昇の影響を軽減することができます。

まとめ

太陽光パネルの発電効率はパネル温度の影響を大きく受け、温度が上昇すると効率が低下することが分かりました。
そのメカニズムは、温度上昇による半導体の電気抵抗増加、開放電圧の低下などに起因します。
パネルの種類や設置環境によっても、温度と効率の関係性は変化し、単結晶シリコンは温度の影響を受けやすく、多結晶シリコンや薄膜太陽電池は比較的影響を受けにくい傾向があります。
日射量、風通し、周囲の気温などもパネル温度に影響を与え、発電効率に直結します。
これらの点を踏まえ、設置場所の選定やパネルの冷却対策などを考慮することで、発電量の最大化を目指せるでしょう。

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