改正FIT法とは?一般向け解説で制度変更を理解

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改正FIT法は、再生可能エネルギーの普及を促進する制度として2012年に導入されましたが、その後、国民負担の増加や太陽光発電への偏りといった課題が顕在化しました。
そのため、2017年に大幅な改正が行われ、制度の在り方が大きく変わりました。
この改正によって、再生可能エネルギー事業者や国民生活にどのような影響が出たのか、改めて確認してみましょう。
今回は、改正FIT法の概要から具体的な変更点、その背景、影響、そして今後の展望までを分かりやすく解説します。

改正FIT法の概要と改正の背景

FIT制度とは何か

FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど)で発電された電気を、国が一定期間、一定価格で電力会社に買い取らせる制度です。
再生可能エネルギーの普及促進を目的として、2012年7月に導入されました。
当初は、再生可能エネルギー導入の促進に大きく貢献しましたが、その後、いくつかの課題が明らかになりました。

FIT制度導入の背景と課題

FIT制度導入の背景には、再生可能エネルギーのコストの高さが挙げられます。
高コストゆえに、事業者は再生可能エネルギーへの投資を躊躇していました。
FIT制度は、高値で買い取ることで、事業者の参入を促し、再生可能エネルギーの導入拡大を図ることを目的としています。
しかし、導入拡大に伴い、国民負担の増加(再エネ賦課金)、太陽光発電への偏った導入、認定を受けたのに発電を始めない未稼働設備の増加といった課題が顕在化しました。

改正FIT法施行の目的

改正FIT法は、これらの課題を解決し、国民負担を抑えつつ、再生可能エネルギーの普及を促進することを目的としています。
具体的には、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入拡大、国民負担の抑制、未稼働設備の削減などが目指されました。

改正FIT法の具体的な変更点と影響

認定制度の変更と厳格化された審査基準

改正FIT法では、従来の「設備認定」から「事業計画認定」へと制度が変更されました。
事業計画の提出が義務化され、審査基準も厳格化されました。
これにより、事業者は発電設備の適切な保守管理、系統安定化への配慮など、より厳格な要件を満たす必要が生じました。

買取価格の決定方法の変更

買取価格は、発電コストだけでなく、将来的に目指すべき電力価格も考慮して決定されるようになりました。
太陽光発電については、家庭用は段階的に価格が引き下げられる一方、事業用は入札制度が導入され、競争が促進されています。

運転開始期限の導入とペナルティ

事業計画認定の取得後、一定期間内に発電を開始しないとペナルティが科せられます。
太陽光発電の場合、10kW未満では1年、10kW以上では3年以内が期限です。
期限超過により、認定の取り消しや買取期間の短縮といったペナルティが科せられるため、事業者は計画的な事業運営を迫られるようになりました。

賦課金減免制度の変更

国民負担の増加を背景に、賦課金減免制度の見直しが行われました。
事業者の省エネへの取り組み状況に応じて、減免率に格差が設けられるようになりました。

送配電事業者への買取主体変更の影響

従来は電力会社がFIT電気を買い取っていましたが、改正FIT法では送配電事業者が買取主体となりました。
送配電事業者は、地域全体の電力需要調整を担っているため、この変更により、再エネ由来の電力供給の増加や送電網の負荷分散が期待されています。

改正FIT法による業界への影響

改正FIT法は、再生可能エネルギー業界に大きな影響を与えました。
より厳格な審査基準や運転開始期限の導入により、事業者は安定的かつ効率的な発電事業を展開することが求められるようになりました。

再生可能エネルギー普及促進への期待

改正FIT法は、買取価格の見直しや競争促進の仕組みの導入により、再生可能エネルギーの普及促進に貢献すると期待されています。
温室効果ガスの排出削減やエネルギー自給率の向上にもつながることが期待されます。

まとめ

改正FIT法は、国民負担の増加や太陽光発電への偏り、未稼働設備の増加といったFIT制度の課題を解決するため、2017年に施行されました。
主な変更点として、事業計画認定の導入による審査基準の厳格化、買取価格の決定方法の変更、運転開始期限の導入、賦課金減免制度の見直し、送配電事業者への買取主体変更などが挙げられます。

これらの変更は、再生可能エネルギー事業者や国民生活に多大な影響を与え、再生可能エネルギーの普及促進と国民負担の抑制という二つの目標のバランスを取りながら、持続可能なエネルギー政策を進めていくための重要な転換点となりました。
今後、更なる技術革新や制度改正によって、再生可能エネルギーの導入がさらに加速していくことが期待されます。

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