太陽光発電出力抑制とは?なぜ必要なのか、対象やルール、低減に向けた取り組みを解説

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太陽光発電事業を営む上で、避けては通れないのが「出力抑制」です。
近年、再生可能エネルギーの導入が進む一方で、出力抑制の話題を耳にする機会も増えました。
事業計画を立てる上で、出力抑制のリスクを正しく理解し、対策を講じておくことは非常に重要です。

今回は、太陽光発電出力抑制の必要性、対象となる設備、ルール、現状における出力抑制の実態、そして低減に向けた取り組みについて解説します。
これらについて理解することで、事業計画や投資判断をスムーズに行うことができるでしょう。

太陽光発電出力抑制とは、一般送配電事業者の指示により、発電事業者が太陽光発電設備の出力を減らすことを指します。
出力抑制は、電力の需要と供給のバランスを確保するため、あるいは送電線の容量を超えないようにするために必要となります。

1: 出力抑制の必要性

太陽光発電は、天候に左右されるため、発電量が変動しやすいという特徴があります。
晴天時には大量の電力が供給される一方、曇りや雨天時には発電量が大幅に減少します。
電力需要と供給のバランスが崩れると、電圧や周波数の変動が生じ、最悪の場合、停電が発生する可能性があります。

そのため、電力会社は、電力の安定供給を確保するために、太陽光発電などの再生可能エネルギーの出力を抑制する場合があります。

2: 出力抑制が行われる状況

出力抑制が行われる主な状況は、以下の2つです。

1: 需要が少なく、発電量が供給量を上回っている場合

電力需要が低い時間帯、例えば、昼間でも冷暖房の使用が少ない春や秋などには、太陽光発電による発電量が電力需要を上回る場合があります。
このような状況では、電力の過剰供給を防ぐために、出力抑制が行われることがあります。

2: 送電線の容量を超える場合

送電線には、送電できる電力量に上限があります。
発電量が送電線の容量を超えてしまう場合、送電網に負荷がかかり、電圧や周波数の変動が生じる可能性があります。
そのため、送電網の安定運用を確保するために、出力抑制が行われることがあります。

3: 出力抑制の影響

出力抑制は、発電事業者にとって、売電収入の減少につながるため、大きな影響を与えます。
せっかく発電した電力を無駄にしてしまうことになるため、事業計画に悪影響を及ぼす可能性があります。

出力抑制の対象は、発電した電力を売電できるすべての太陽光発電設備です。
ただし、10kW未満の設備は、当面の間、対象外となっています。

1: 出力抑制のルール

出力抑制のルールは、2021年4月以降、すべて無制限・無補償ルールが適用されています。
これは、発電事業者は、出力抑制によって発生する損失を補償されないことを意味します。

2: 出力抑制量の低減に向けて

出力抑制は、発電事業者にとって大きな課題です。
そのため、出力抑制量の低減に向けた取り組みが積極的に行われています。

・需要家への電力供給の拡大

電力需要の拡大は、出力抑制の発生を抑える効果があります。
電力会社は、需要家の電気使用量を増やすことで、出力抑制を回避しようとしています。

・電力貯蔵システムの導入

電力貯蔵システムは、発電された電力を蓄え、必要な時に放電することができます。
太陽光発電で発電された電力を蓄え、電力需要がピーク時に放電することで、出力抑制を抑制する効果が期待されています。

・地域間連系線の活用

地域間連系線は、異なる地域間で電力をやり取りすることを可能にする送電線です。
発電量が過剰な地域から、電力需要が高い地域へ電力を送ることで、出力抑制を抑制する効果が期待されています。

太陽光発電出力抑制は、電力の安定供給を確保するために必要な措置です。
しかし、発電事業者にとっては、売電収入の減少につながるため、大きな課題となっています。
出力抑制のルールや対象、そして低減に向けた取り組みを理解した上で、事業計画を立て、将来的な事業展開をスムーズに進めていくことが重要です。

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