太陽光発電を住宅の屋根に設置すると補助金を受け取ることが出来ますが必ずしも補助金を受け取れるとは限りません。では太陽光発電の補助金を受け取れる仕組みとは一体何なのでしょうか?
太陽光発電の補助金とは?

住宅用の太陽光発電の機材は1993年から販売を開始しました。太陽光発電は当時から自然エネルギーを利用した発電方法であってとても環境に優しいので環境省によって促進されていきました。
その促進の一環として太陽光発電の機材を設置した家庭には国から一定の補助金が支給されました。当時の補助金は国によって支給されていたので日本全国どの地域に設置しても補助金を受け取ることが出来ました。
しかし太陽光発電システムの開始当初は設置機材が高価だったこともありあまり普及していませんでした。しかしその後設置機材の価格が徐々に低下していったことと、個人宅で蓄電された電気を電力会社に買い取って貰う売電制度が開始したことにより太陽光発電は日本国内で着実に浸透して行っています。
それと同時に国による補助金制度は終了しました。現在は太陽光発電が登場した時に比べてはるかに安い予算で機材を設置できるようになりましたが国による補助金制度は残っていません。
法人と個人の違い

現在国による太陽光発電の補助金は支給されていませんが、蓄電された電気を買い取って貰う売電制度によってより経済的に太陽光発電を利用できるようになっています。その売電制度は個人宅と法人施設で若干の違いがあります。
法人向け:全量電力買取制度
法人が利用できる売電制度の事を「全量電力買取制度」と言います。こちらは元々「固定価格買取制度」という名前で呼ばれていましたが現在は全量電力買取制度と呼ばれています。
全量電力買取制度は総量10kW以上の太陽光発電が対象となっており、主に工場施設のような屋根の広い建物に設置する際に適用されます。
全量電力買取制度は太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを利用した発電によって生じた電気を全て電力会社に買い取って貰う仕組みとなっています。
個人向け:余剰電力買取制度
個人宅での売電制度は「余剰電力買取制度」と呼ばれています。売電制度開始当初は全量買取しかありませんでしたが後に個人宅のような10kW以下しかない規模の小さい設備のために登場しました。
余剰電力買取制度は家庭内で使用しなかった余剰分の電気を電力会社に買い取って貰う制度となっています。
どちらの買取制度も電気の買取価格は年単位で変動しますが、余剰電力買取制度の方が高い買取価格が付けられています。
国と県での違い

環境省による国からの太陽光発電の補助金は1993年から開始されました。それ以降太陽光発電の補助金は金額やシステムを変更しながら次第に普及していき、2005年にはいったん廃止しています。
その後2009年から太陽光発電の注目度が高まったことにより補助金が一時的に復活します。そして国からの太陽光発電の補助金は2014年に終了しました。
それ以降は都道府県や市町村から太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電に対して補助金が支給されています。
この補助金は地域によって大きく差が出ています。補助金の金額の計算方法は発電したキロワット数か総工費の10%などの計算方法があります。また全ての地域にて補助金が支給されているわけではなく、地域ごとに期限が儲けられています。中には既に終了している地域もあります。
太陽光発電の補助金の支給具合は発電量の多い地域に比例しています。中部地方や四国、九州地方は発電量が多いので補助金制度も豊富ですが東北地方や北海道は年間の発電量が少ないので補助金制度も少なくなっています。
東京都
東京都では平成28年~平成29年の春頃までの約1年間に渡って家庭あるいは企業を対象に太陽光発電設置に対する補助金が支給されていました。システムや金額は地域によって異なります。
↓東京都内の補助金制度詳細はコチラ
https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/energy/renewable_energy/PV_SubsidyProgram_H28.pdf
神奈川県
神奈川県では平成29年4月26日~9月29日あるいは平成29年10月2日~平成30年2月28日の期間で「平成29年度神奈川県蓄電システム導入補助金」を実施しています。神奈川県内にて期限内に補助金を申請した家庭が対象となっています。
↓平成29年度神奈川県蓄電システム導入補助金の詳細はコチラ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f470193/p1026824.html
宮城県
宮城県全体では「スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金」という名称で平成29年5月15日~平成29年12月28日の期間内に太陽光発電の設備を設置した住宅及び法人施設を対象に補助金を支給していました。それとは別で市町村内で現在も実施している補助金制度もあります。
↓スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金及びその他の補助金制度はコチラ
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/saisei/smartenergy-h29.html
愛知県
愛知県では「愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助」という名前で実施しています。主に個人住宅を対象とし、ソーラーパネルや蓄電池あるいは電気自動車などを対象に補助金を支給しています。金額や期限は地域によって異なります。
↓愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助の詳細はコチラ
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/ondanka/0000004471.html
補助金の推移

環境省による太陽光発電の補助金は1993年から開始し2005年に一旦終了、その後2009年~2014年まで継続しました。その後は地方自治体による補助金と売電制度によって太陽光発電が普及されています。
平成26年度(2014年)
平成26年度住宅用太陽光発電補助金交付数
http://www.jpea.gr.jp/j-pec/data/doc/pdat_h26koufu_20150224.pdf
これにより国からの太陽光発電補助金交付は終了しました。それ以降は地方自治体による助成金と蓄電の買取制度が浸透しています。
固定価格買取制度による売電
固定価格買取制度は2009年より開始され、国による補助金が無くなった現在も続いています。こちらは太陽光発電によって生成された電力を電力会社に売却するというシステムで、数年後には元々の設備費が回収できるという利点があります。
固定価格買取制度の開始当初は設備費が高価だったため費用を回収するまでに長期間を要しました。現在は太陽光発電の設置費用が低下したため以前より設置時の予算が立てやすくなっています。
平成28年度
平成28年度では再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金の公募が開始しされました。こちらは主に太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電システムを導入する法人向けの補助金制度となっています。公募は同年9月9日に終了しています。
日本国内において、補助対象設備の要件を満たす再生可能エネルギー利用設備(再生可能エネルギー熱利用設備、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第6条に基づく設備認定を受けない再生可能エネルギー発電設備及びそれらの設備に付帯する蓄電池)を導入する事業を対象とする。
2017年はどうだったか?
国による補助金は支給されていませんが、2009年から開始された固定価格買取制度は継続され、設備費が低下するにつれて短いスパンで設備費が回収できるようになりました。売電価格は余剰買取で30円/kWh~28円/kWh、全量買取で21円/kWhとなっています。
2018年はどうなる?
固定価格買取制度の金額は余剰買取で28円/kWh~26円/kWhとなっていますが、全量買取は不明です。また家庭用蓄電・蓄熱導入事業の実施を予定しています。
住宅用太陽光発電設備(10kW未満)が設置されている新築・既築の住宅に(1)一定の要件を満たした家庭用蓄電池、(2)蓄電池と合わせて導入する蓄熱設備を設置する世帯に対し設備費と工事費の一部を補助する。補助率等は(1)設備費:定額(3万円/kWh、上限:1/3)、工事費:定額(上限:5万円/台)、(2)設備費・工事費合わせて定額(上限:5万円/戸)。事業実施期間は2018年度~2019年度。
2019年はどうなる?
固定価格買取制度の価格は余剰買取で26円/kWh~24円/kWh、全量買取は不明です。2019年は2009年から始まった買取制度の期間10年間が終了する世帯が出て来るため買取制度が節目を迎えると予想されます。
売電システムが使えない太陽光発電はどうなるのか?この年から太陽光発電のあり方が変わるのではないかと推測されます。
2019年度の買取価格は、出力制御ありで26円/kWh、出力制限なしで24円/kWhと、大手電力会社での家庭用電力料金と同等水準に達するので、住宅用太陽光発電は1つの節目を迎えると言ってもよいでしょう。
2020年はどうなる?
2009年から開始された固定価格買取制度は毎年買取価格が低下する一方でした。2020年以降も次第に下がっていき、その他の電力と変わらない価格設定に近づいていく見込みとなっています。
国は地球にやさしい太陽光発電をこれからも世間に浸透していきたいと考えています。そして最終的には太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電方法のみで住宅の電気を賄うことを目標にしています。
2019年で家庭用電気料金並み(24円/kWhを想定)
2020年以降できるだけ早期に電力市場価格並み(11円/kWhを想定)
太陽光発電の補助金についてどこに何を聞いたら良い?

環境省による国からの補助金制度は既に終了しています。現在は地方自治体から自然エネルギーを利用した発電を対象に補助金が支給されています。しかし地域によって金額や補助金の有無自体も変わって来るので事前にチェックする必要があります。
施工会社様か国・地方自治体かどちらに聞いたら良い?
補助金の詳細を問い合わせるならば地方自治体もしくは販売施工会社に聞きましょう。一番大事なのは補助金制度を行っているかどうかです。現在は既に終了している地域も多く存在します。
また補助金制度は市町村によって内容が変わって来るので、一つの施工会社に聞いた場合あっちでは出来るがこっちでは出来ないというケースがあります。
↓こちらで全国の補助金制度を導入している地域をチェックできる
https://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar/
現在の補助金状況(一例)
東京都
2018年はあまり補助金制度が行われていないが地域によっては住宅用太陽光発電やソーラーカーに対して補助金を提供しています。
愛知県
住宅用太陽光発電を対象とした補助金を一部地域で支給しています。
↓詳細はコチラ
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/ondanka/0000004471.html
宮城県
石巻市、柴田郡村田町、登米市、宮城郡七ヶ浜町、本吉郡南三陸町では2018年3月頃まで行っています。
↓石巻市太陽光発電等普及促進事業補助金の詳細
https://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar/result.php?state=miyagi&city=ishinomakishi#p11574
神奈川県
綾瀬市、海老名市、相模原市、中郡大磯町、藤沢市、横浜市では2018年3月頃まで行っています。
↓横浜市の平成29年度神奈川県蓄電システム導入費補助金の詳細
https://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar/result.php?state=kanagawa&city=yokohamashi#p11243
まとめ
国による太陽光発電への補助金の支給は終了していますが地方自治体によって市町村ごとに補助金が支給されていることもあります。しかし一定の期間のみでしか行われていないので注意が必要です。
また蓄電の買取制度も2019年から変化すると予想されるのでこれから先太陽光発電の設置を検討している人は最新情報のチェックを忘れないで下さい。